外壁の役割

gaiheki0002.jpg■外壁の役割
 木造住宅にとって、外壁は屋根と同じように生活空間を風雨から守るという大切な役割をもつ部分として知られています。このほか外壁には開口部と呼ばれる窓出入口が加わるので、外部からの騒音の遮断や断熱などを始めとする各種の性能にも対応出来るものでなければなりません。
 同じ外装材でも、外壁は屋根にくらべて、より多目的な性能が要求される所に特徴があり、その分設計にも施工にも難しさが加わる傾向がみらます。
 雨漏りといえば、屋根を疑うのが常識だと考えますが、実際には、外壁が漏水の原因になっている例が少なくありません。
外壁は、屋根と同様、あるいはそれ以上に建物の美観を左右する部位であることも重要視していただきたい。


■自然の条件を受ける外壁
自然条件とは、住宅をとりまく気候風土のことになるが、わが国の南北に連なる地形は、同じ国内でありながら北アメリカや北部ヨーロッパと同じ気候と、熱帯や亜熱帯に属する環境を並存させる事になり、建物の仕様も両者で大きく異なる事が知られています。
また、これらの気候条件と同程度に住宅の設計条件を変えたのが、外壁を始めとする建物の外周部分の構造に高気密化、高断熱化を取り入れようとする流れである。
 さまざまな屋外の気候条件とは無関係に、快適な室内気候を確保しようとする方向が住宅設計の主流になりつつあり、この流れにともなって外壁の材料、仕様が多様な変化をみせている。高気密化、断熱化は確かに住宅にとって必要な要素。外壁材に求められる耐水性能は気候風土を問わず必要となる性能である。一般の地域では漏水の被害に直結するし、寒冷地では外壁材に侵入した水分が凍結して、材料を破壊させる凍害の原因になる等、外壁の耐水性能は重要であるが、これに応えられる外壁材は、施工上の問題もあるが極めて少ない。

丈夫で長持ちする外壁とは
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 丈夫な外壁材とは、壊れない、壊れにくい材料であり、こわれなければ、それが原因で起こる漏水その他の被害を起こすこともない。材料の壊れる原因の一つは地震や風圧などの外力によって起こる材の変形によるものである。もう一つの原因は、経年や材料のもつ
本来の弱点のせいで起こる破損で、この場合は外力の有無は殆ど無関係である。例えば、モルタルなどの左官仕上げに起こるひび割れ、鉄板類の錆の発生による劣化、木質材料の腐食など実に多岐にわたる材料がそれぞれの特有の破損を起こす事情を抱えているが、この状況のなかで丈夫な外壁材をさがす事は簡単なことではない。の背景には、もともと外壁材として使える材料があまり
多くないからであり、その理由が、耐水耐火、耐風など外壁材の要件を満たす性能をもつ材料が少ない事にある。一方、長持ちする材料という条件を満たす外壁材はどうであろうか。長持ちする材料とは、長期間にわたって、新築当時の性能を維持し続ける材料、さらにその間に清掃、補修などの維持管理が少なくて済むか、全く不要である事が理想とされる、そんな材料のことである。外壁材の場合は、これに加えて新築時と変わらぬ美観を維持し続ける事も大切な条件である。
 外壁は、屋根に比べて人目に触れやすいので、材料の表情は建物の外観の効果を左右する重大な要素となるからである。したがって、ここでいう長持ちとは、一般的な耐久性(主として材料の性能にかかわるもの)だけでは不十分なのであって、材料の美観上の耐久性も大いに必要とされる事情がある。また、外壁材の評価の中には汚れにくさや汚れの自己洗浄性能などの特殊な性能も重視されなければならない。